藻っと知ろう!

藻類を食に取り込むことで得られる健康効果や栄養情報をご紹介します。

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海藻で免疫力を上げよう!免疫力を上げる栄養素3選と嬉しい効果2選を紹介!
免疫力を上げる海藻の主な栄養素3選! 海藻には、免疫力を上げる効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。それでは、具体的にどのような栄養素が含まれているのか紹介します。 フコイダン フコイダンはワカメや昆布などに含まれるヌメリ成分です。フコイダンは腸から吸収されにくい性質を持っていて、マクロファージや樹状細胞などの細胞を活性化させます。マクロファージは体内に侵入した有害物質を食べ、細菌を消化・殺菌する免疫細胞です。樹状細胞は有害物質が体内に入り込んだ時に、有害物質を取り込んで感染を他の免疫細胞に知らせる役割のある免疫細胞です。したがって、フコイダンがこれらの免疫細胞を活性化させることで免疫力を上げる効果に期待ができます。 ミネラル 海藻にはカルシウムやマグネシウムをはじめとした多くのミネラルが含まれています。ミネラルとは体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称をいいます。カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラルであり、骨や歯を形成する栄養素です。カルシウムが不足すると、身体は骨を溶かしてカルシウムを血中に取り出します。すると、免疫細胞をはじめとする細胞内にカルシウムが入り込み、普段より免疫細胞が機能しなくなってしまうのです。そのため、カルシウムを摂取することで免疫力を保つことができます。また、マグネシウムは体内のさまざまな代謝を助け、筋肉の収縮や体温・血圧の調整にも役立っています。体温は免疫力と深い関係があり、低体温の場合には免疫力にかかわる細胞の活動が低下してしまいます。なので、マグネシウムをしっかり摂取して、体温を正常な状態に保つことが大切です。 食物繊維 海藻には食物繊維も多く含まれています。食物繊維は第6の栄養素ともいわれており、主な効果は腸内環境を整え、免疫細胞を活性化させることです。免疫に関わる細胞の6割以上が腸に存在しているので、腸内環境を整えることは免疫力を上げるために非常に重要です。食物繊維の腸内環境を整える効果から、食物繊維の摂取は免疫力アップにつながるといわれています。さらに、食物繊維は便秘の解消だけでなく、血糖値上昇の抑制や血液中のコレステロール濃度の低下などさまざまな効果が期待できます。しかし、日本人の通常の食生活では食物繊維を摂りすぎることはほとんどないですが、サプリメントなどで摂りすぎた場合ミネラルなどの吸収を妨げることもあり、注意が必要です。 海藻に期待できる免疫力を上げる以外の嬉しい効果2選! 海藻に含まれている栄養素は、免疫力を上げる以外にも嬉しい効果が期待できます。今回は、その中から2つ紹介していきます。 便秘改善 海藻に多く含まれる食物繊維は便通を整えるので、便秘を防ぐうえで欠かせないものです。食物繊維は直接腸のはたらきを刺激するだけでなく、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌のエサになるので、善玉菌を増やしお腹の調子を整えます。また、食物繊維は水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に大別できます。その両方をバランスよく摂取することが大切ですが、海藻にはそのどちらも含まれています。海藻から食物繊維を摂取することで、便秘の解消に役立てましょう。 美肌効果 便秘などで腸内環境が悪いと、腸の中に貯まってしまった便が腐敗し、有害物質が発生してしまいます。この有害物質は血液を通じて全身に回り、肌へ悪影響が出てしまいます。そのため、先ほど紹介した食物繊維の効果で腸内環境が改善されると結果的に肌も綺麗に保つことができます。 まとめ 海藻には免疫力を上げる栄養素が豊富に含まれています。さらに、海藻を食べることで、免疫力を上げる以外に便秘を改善したり、美肌効果など身体に嬉しい効果が見込めます。これを機に、免疫力を上げるために海藻を食べてみてはいかがですか?
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免疫ビタミン「LPS」とは?「LPS」で期待できる効果や多く含まれる食品を紹介!

免疫ビタミン「LPS」とは LPSは「リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)」の略で、日本語では「糖脂質」や「リポ多糖」と呼ばれる栄養素です。LPSは土の中や海の微生物に多く存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。そんなLPSはビタミンの定義とされている「微量で動物の正常な生理機能を調節する」などの条件を全てクリアしており、免疫力を上げる効果が期待できるので、免疫ビタミンと呼ばれています。具体的には、体内に侵入したウイルスや細菌などを排除するはたらきをする、「マクロファージ」と呼ばれる細胞を活性化させることから、免疫力を高めてくれます。さらに、肌の免疫機能にも作用するため、美容にも嬉しい栄養素として注目されています。 免疫ビタミン「LPS」で期待できる効果 LPSには免疫ビタミンといわれるように、免疫力を上げる効果が期待できます。さらに、免疫力をあげる以外にも嬉しい効果が期待できるのでそちらも紹介します。 アルツハイマー病の予防 LPSはアルツハイマー病のリスクを下げるといわれています。アルツハイマー病は脳内に「アミロイドβ」という物質が増えすぎることで起こる病気です。加齢とともにアミロイドβは増えますが、健康的な状態であれば脳内のマクロファージ細胞がアミロイドβの蓄積を防いでくれます。つまり、LPSを摂取することでマクロファージを活発化させ、アルツハイマー病の予防に効果があるといわれています。 花粉症の予防 花粉症やアレルギー症状は免疫のバランスが崩れることで起こります。LPSが免疫力を保つはたらきを持つマクロファージ細胞を活性化することによって免疫のバランスが整い、花粉症を抑制する効果があったことがわかっています。マウスにスギ花粉を与えて花粉症にする実験で、LPSを与えたときと与えなかった時を比較し、LPSを与えたときは花粉症の症状が出にくくなったことが明らかになりました。このことから、LPSを摂取することで、花粉症を予防、抑制できる効果が期待できます。 肌荒れの予防 LPSは肌荒れを防いだり、炎症を改善するといった効果があります。LPSは、肌の乾燥、刺激やウイルスの侵入を防ぐ役割を持つ「ケラチノサイト」という物質のはたらきを高める効果があります。また、LPSは炎症の原因である「ケモカイン」という物質を分泌する「ランゲルハンス細胞」のはたらきを抑える効果があることがわかっています。これらの結果からLPSは肌荒れの予防に効果が期待できます。 がんの予防 がんは、加齢やストレスで発症率が増加します。がんが加齢やストレスで発生しやすくなる理由の1つに、免疫機能が衰え、マクロファージ細胞などのはたらきが鈍くなることがあげられます。マクロファージ細胞はがん細胞が増加するのを監視し、防ぐはたらきがあるので、LPSでマクロファージ細胞を活性化することでがんになりにくくすることが期待できます。 免疫ビタミン「LPS」が多く含まれる食べ物 海藻類 LPSは海藻類にも多く含まれています。その中でも特にワカメやめかぶに多く含まれていることがわかっています。さらに、海藻類は海の中の養分を吸収して育ち、LPS以外にも豊富な栄養素を含んでいることから「海の野菜」ともいわれています。乾燥した海藻を水で戻す場合、戻し汁を捨てずに調理することでLPSを無駄なく摂取することが出来ます。また、栄養豊富で近年注目のスーパーフードであるユーグレナは、藻の一種なので海藻類と同じようにLPSも多く含まれているのでぜひ摂取してみてください。 穀類 穀類の中でも特に玄米、小麦、蕎麦にLPSが多く含まれています。LPSは穀類の皮や胚芽部分に多く含まれているので、精白米よりも玄米を、小麦なら全粒粉を、蕎麦であれば十割蕎麦を選ぶことがおすすめです。また、穀類を未精製で食べる際に残留農薬が不安な方は、農薬や化学肥料を使用しない自然農法などで栽培されたものを選ぶと良いでしょう。 きのこ類 きのこ類の中ではひらたけやしいたけがにLPSが多く含まれているのでおすすめです。きのこ類はLPS以外にもビタミンや食物繊維が含まれているので免疫力を上げる食べ物として優れています。きのこに含まれているビタミン群は水で煮ると溶け出してしまいます。そのため煮た場合には、スープを一緒に飲むことできのこに含まれるビタミンB群を効率よく摂取することができます。 根菜 LPSは主に土壌に含まれる菌に由来する成分なので、根菜にはLPSが多く含まれています。レンコンやにんじん、ゴボウなどに特に多く含まれています。LPSは根菜の皮に特に豊富に含まれているため、にんじんなどは皮ごと食べるのがおすすめです。 まとめ 免疫ビタミンと呼ばれるLPSはビタミンの定義を全て満たし、免疫力を上げる効果が期待できます。そして、LPSを摂取することでアルツハイマー病、花粉症などさまざまな症状に効果があるといわれています。LPSが多く含まれている穀類、きのこ類、海藻類、根菜を食べて免疫力を上げてみてはいかがでしょうか。

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昆布の健康効果と栄養価について

大型藻類の一種である昆布について解説します 昆布について 昆布の特徴 昆布は、日本料理の基本となる「出汁」の原料として欠かせない褐藻類です。肉厚で長い葉状の形をしており、乾燥後でも人の背丈以上になるものもあります。国内生産量の約90〜95%が北海道で採取されており、残りの約5%は青森県、岩手県、宮城県の東北3県で生産されています。昆布は寒流系の海藻で、宮城県以北の太平洋岸と北海道全域に分布しています。 主な昆布の種類 真昆布 産地:道南の渡島や噴火湾周辺 特徴:厚みがあり幅が広く、昆布の最高級品。切り口の色により「白口元揃」(最高級品)と「黒口元揃」(高級品)に分類される 出汁の特徴:上品な甘みとコクがあり、澄んだ出汁が取れる。クセのない旨味で、出汁自体の主張が少なく他の食材に合わせやすい 用途:汁物、煮物、鍋料理など幅広い料理に使用。肉厚なため佃煮や塩昆布にも加工される 羅臼昆布 産地:知床半島の根室側(羅臼町) 特徴:別名「オニコンブ」「だしの王様」と呼ばれる茶褐色の大きな昆布。真昆布と並ぶ高級品 出汁の特徴:厚みのある濃厚な旨味と甘み、コクの強さが特徴。香りも高く、黄色みを帯びた濃いだしが取れる 用途:濃厚な味の料理、煮物、ラーメンの出汁など。主張が強いため昆布単体の出汁として使用するのがおすすめ 利尻昆布 産地:利尻島、礼文島、留萌以北、稚内、オホーツク海沿岸 特徴:真昆布より幅が狭く、葉は黒褐色で固い。真昆布、羅臼昆布につぐ高級品 出汁の特徴:透明で風味が良く、少し塩味のある澄んだ高級だしが取れる。磯臭さがなく上品な味わい 用途:京都の懐石料理、お吸い物、湯豆腐など。合わせだしにも最適。肉質が固いため、高級おぼろ昆布・とろろ昆布にも使用される 日高昆布 産地:日高地方(植物学的には三石昆布) 特徴:濃い緑に黒味を帯びている。柔らかく煮えやすい万能昆布 出汁の特徴:味も良いが、磯の香りが強く、後の広がりが続かない。だしは多少濁る 用途:「食べる昆布」として人気。昆布巻、おでん、佃煮など。出汁としても使用可能で一般家庭向き 昆布の栄養成分 真昆布(素干し・乾)100gあたりの栄養成分値 ⚠️ ヨウ素過剰摂取にご注意:昆布のヨウ素含有量は極めて高く(200,000μg/100g)、他の海藻と比較して20倍以上です。過剰摂取は甲状腺機能障害のリスクがあります。だしを取る程度の使用であれば問題ありませんが、昆布を大量に食べることは避けてください。 補足情報:・データは真昆布(素干し・乾燥状態)の値です。・昆布の種類により栄養成分は若干異なります。・水溶性食物繊維にはアルギン酸、フコイダンなどが含まれます。・乾燥昆布は水で戻すと約3〜5倍に膨らみます。 昆布の健康効果 生活習慣病の予防・改善:アルギン酸(水溶性食物繊維)による効果: 血圧低下:体内の余分なナトリウムを排出し、血圧の上昇を抑制 コレステロール低減:悪玉コレステロールや中性脂肪値の上昇を抑制 血糖値上昇抑制:糖質や脂質の吸収を抑える 体重・体脂肪の抑制:特に内臓脂肪の減少に効果的 大妻女子大学の青江誠一郎教授による研究では、50人の肥満域にある男女が昆布粉末(アルギン酸3.3g含有)を8週間摂取したところ、男性の体脂肪が有意に減少し、特に内臓脂肪の減少に効果がありました。 筑波大学の研究チーム(2020年、European Journal of Clinical Nutrition)の分析では、アルギン酸などの水溶性食物繊維が血圧、血中脂質、血糖、体重を抑制する作用が確認されています。 免疫力向上・抗がん作用:フコイダン(水溶性食物繊維)による効果: 免疫増強作用:NK細胞の活性化 抗腫瘍・抗がん作用:がん細胞の増殖抑制 肝機能改善:肝細胞の再生促進 抗血液凝固作用:血液をサラサラにする NPO法人フコイダン研究所の研究では、フコイダン摂取により免疫増強作用、コレステロール低減作用、血圧・血糖値上昇抑制作用などの効果が認められています。 代謝促進・甲状腺機能のサポート:ヨウ素による効果 甲状腺ホルモンの合成:全身の代謝を促進 発育促進:子供の成長、胎児・乳児の発育に必要 体調維持:健全な体調を維持する効果 ヨウ素は体内では生成できないため、食物から摂取する必要があります。昆布は優れたヨウ素供給源です。 ヨウ素の過剰摂取に注意: 昆布は他の海藻と比較してヨウ素含有量が圧倒的に多い(200,000μg/100g)ため、過剰摂取には特に注意が必要です。ヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能の低下や亢進を引き起こす可能性があります。出汁として適量を使用する分には問題ありませんが、昆布そのものを大量に食べ続けることは避けましょう。 骨や歯の健康維持:カルシウムによる効果 骨や歯の形成を助ける 骨粗しょう症の予防 血液凝固作用 脂肪燃焼・抗酸化作用:フコキサンチン(褐色色素)による効果 脂肪燃焼作用:体脂肪の減少 血糖値低下作用 抗酸化力:活性酸素を除去 炎症物質を減らす働き 北海道大学の研究では、フコキサンチン2mg/日を8週間摂取したところ、HbA1c(血糖値変化の指標)が下がり、別の試験では体重や肝臓の脂肪量が減少したことが報告されています。 減塩効果:グルタミン酸(旨味成分)による効果 減塩のサポート:しっかり出汁が効いた食事は塩分を減らしても美味しい 食べすぎ防止:胃のセンサーに働いて満腹感を促進 死亡リスク・心疾患リスクの低減 約93,000人(45〜74歳)の日本人を対象とした大規模研究では、海藻の摂取量が多い人は死亡リスクが6%低く、昆布、海苔、わかめなどをほぼ毎日食べる人は、虚血性心疾患のリスクが男性で24%、女性で44%低下していました。 昆布の使われ方 出汁を取る 基本的な出汁のとり方 鍋に1リットルの水を入れ、昆布を30分以上つける(冬場は60分以上) 沸騰させないように弱火で15〜20分加熱 昆布の周りから気泡が出てきたら(沸騰直前に)火を止めて昆布を取り出す そのままにしておくと雑味が出るため、タイミングが重要 昆布の選び方 昆布単体の出汁:羅臼昆布(濃厚な味わい) 合わせだし:真昆布(コク重視)、利尻昆布(香り重視) 初心者・離乳食:利尻昆布(クセがなく上品) 出汁も食用も:日高昆布(両用可能で低価格) 料理への応用 汁物・味噌汁:かつおと昆布の合わせだし 鍋料理:真昆布の上品な出汁 お吸い物・湯豆腐:利尻昆布の澄んだ出汁 だし巻き卵:真昆布や利尻昆布 煮物:羅臼昆布の濃厚な出汁 出典 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版(文部科学省)まこんぶ/素干し/乾(食品番号:09017) 筑波大学研究チーム(2020年)European Journal of Clinical Nutrition 大妻女子大学 青江誠一郎教授研究 北海道大学研究 NPO法人フコイダン研究所 株式会社くらこん「昆布の栄養」 株式会社フレスタ「昆布、ワカメ、海苔……古来から日本人の健康を守ってきたソウルフード"海藻"のチカラ」(2022年1月6日) 白ごはん.com「昆布の種類と味の違いや特徴について」 株式会社くらこん「昆布の産地と種類」 まいにち、おだし。「昆布の種類と選び方」(2025年10月4日) こんぶネット「昆布の種類(昆布いろいろ)」(2022年5月10日)

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わかめの健康効果と栄養価について

大型藻類の一種であるわかめについて解説します わかめとは わかめの特徴 わかめは、日本の食卓に古くから親しまれている褐藻類の海藻です。柔らかな食感とほのかな磯の香りが特徴で、生わかめは鮮やかな緑色、乾燥わかめは保存性に優れています。三陸海岸や鳴門海峡など、潮の流れが速い地域で質の高いわかめが育ちます。 わかめは部位によって異なる特徴を持っています。葉の部分は柔らかく、味噌汁や酢の物に最適です。茎の根元にできる「めかぶ(成実葉)」は、ヒダのように複雑に折り重なった形状で、刻むと強い粘りが出るのが特徴です。この粘り成分はフコイダンやアルギン酸などの水溶性食物繊維で、葉の部分よりも豊富に含まれています。また、わかめの中肋や茎の部分の「茎わかめ」は、コリコリとした歯ごたえのある食感が楽しめ、捨てられがちな部位を活用した食材として注目されています。 わかめは流通しているもののほとんどが養殖品で、塩蔵わかめやカットわかめとして1年中食べられますが、生わかめの旬は春先です。 わかめの栄養成分 わかめは低カロリーでありながら、食物繊維とミネラルが豊富に含まれています。 注意事項・乾燥わかめは水分が約14%、茎わかめとめかぶは水分が約90%前後のため、直接比較する際は水分状態を考慮してください。・乾燥わかめを水で戻すと約10倍に膨らみます。・茎わかめは「湯通し塩蔵、塩抜き」の状態の値です。 わかめの健康効果 わかめには、科学的研究によって以下の健康効果が報告されています。 生活習慣病の予防・改善:アルギン酸(水溶性食物繊維)による効果 血圧低下:体内の余分なナトリウムを排出し、カリウムとナトリウムのバランスを調整することで血圧の上昇を抑制 コレステロール値の改善:悪玉コレステロールや中性脂肪値の上昇を抑制 血糖値上昇抑制:糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ 動脈硬化予防:血液をサラサラにする効果 筑波大学の研究チームによる分析(2020年、European Journal of Clinical Nutrition)では、海藻に含まれるアルギン酸などの水溶性食物繊維が血圧、血中脂質、血糖、体重を抑制する作用があり、海藻を多めに摂取することでこれらの効果が確認されました。 また、大妻女子大学の青江誠一郎教授による研究では、50人の肥満域にある男女が昆布粉末(アルギン酸3.3g含有)を8週間摂取したところ、男性の体脂肪が有意に減少し、特に内臓脂肪の減少に効果があることが示されました。 免疫力向上・胃腸の保護:フコイダン(水溶性食物繊維)による効果 免疫増強作用:NK細胞の活性化により免疫力を高める 抗ピロリ菌作用:胃がんの原因となるピロリ菌を殺菌 胃粘膜保護:胃炎や十二指腸潰瘍の予防 肝機能改善:肝細胞の再生促進、デトックス効果 抗アレルギー作用:アレルギー症状の緩和 NPO法人フコイダン研究所の研究(2004年)では、フコイダン混合食品の摂取によりNK細胞活性が亢進し、がん細胞の増殖が抑制されたことが報告されています。ただし、これらは研究段階の効果も含まれており、わかめを食べることで病気が治療できるわけではありません。 めかぶは、わかめの他の部位よりもフコイダンが豊富に含まれており、特に強い粘り成分による健康効果が期待されています。 腸内環境の改善 ・整腸作用:水溶性・不溶性食物繊維が腸内環境を整える ・便秘解消:アルギン酸が便を柔らかくし、排出を促進 ・腸内細菌のサポート:日本人の腸内には海藻を分解する特殊な酵素を持つ細菌が存在(日本人の約9割に確認、他国では15%以下) ミネラル補給による多様な効果 カルシウム ・骨や歯の形成を助ける ・骨粗しょう症の予防 ・血液凝固を助け、出血を予防 マグネシウム ・エネルギー代謝をサポート ・体内の酵素の正常な働きを助ける ・血管を拡張し血圧を下げる カリウム ・体内の水分バランスを調整・むくみ予防・余分な塩分の排出 ヨウ素 甲状腺ホルモンの合成 全身の新陳代謝の促進 髪や肌に潤いを与える 子供の成長、胎児・乳児の発育に必要(妊娠中・授乳中の摂取が推奨される) ヨウ素の過剰摂取に注意: ヨウ素は必要な栄養素ですが、過剰摂取すると甲状腺機能の低下や亢進を引き起こす可能性があります。極端にわかめばかり食べるような食事でなければ心配ありませんが、食べすぎには注意しましょう。 ダイエット・肥満予防効果 低カロリー:めかぶ(14kcal)や茎わかめ(18kcal)は低カロリーで満足感が得られる 脂肪燃焼作用:褐色色素成分フコキサンチンによる脂肪燃焼効果、血糖値低下作用 代謝促進:ヨウ素による新陳代謝の向上 咀嚼効果:茎わかめのコリコリ食感が咀嚼回数を増やし、満腹中枢を刺激 北海道大学の研究では、フコキサンチン2mg/日を8週間摂取したところ、HbA1c(血糖値変化の指標)が下がり、別の試験では体重や肝臓の脂肪量が減少したことが報告されています。 抗酸化作用・がん予防 クロロフィル(葉緑素):抗酸化作用により発がん抑制効果 フコキサンチン:抗酸化作用、炎症物質を減らす働き βカロテン:活性酸素の発生を防ぐ 死亡リスクの低減 約93,000人(45〜74歳)の日本人を対象とした大規模研究では、海藻の摂取量が多い人は死亡リスクが6%低く、昆布、海苔、わかめなどをほぼ毎日食べる人は、虚血性心疾患のリスクが男性で24%、女性で44%低下していました。 わかめの使い方 わかめ 味噌汁・スープ: 味噌汁やスープの具材として最もポピュラーに使われます。乾燥わかめは水で戻すだけ、または乾燥状態のまま直接入れることで、戻し汁に出る栄養素も丸ごと摂取できます。 サラダ・酢の物: 水で戻したわかめを酢の物やサラダに使います。酢と一緒に摂取することで、フコイダンなどの成分が吸収されやすくなります。 炊き込みご飯: わかめご飯として炊き込むことで、手軽にわかめの栄養を摂取できます。 炒め物・パスタ: わかめを使ったペペロンチーノやアヒージョなど、オリーブオイルを使った料理にすることで、βカロテンの吸収率を高めることができます。 その他: 和え物、煮物、うどんやラーメンのトッピングなど、幅広い料理に活用されます。 めかぶ そのまま食べる: 刻んだめかぶにポン酢や醤油をかけてそのまま食べるのが最も一般的です。細かく刻むほど粘りが強くなります。 ご飯のお供・混ぜる: ご飯にのせたり、納豆と混ぜたりして食べられます。卵と混ぜても美味しく楽しめます。 味噌汁の具材: わかめと同様に、味噌汁の具材としても使われます。 加工品: 冷凍のカットめかぶ、パック入りの味付けめかぶ、塩蔵めかぶ、子持ちめかぶ(シシャモなどの卵を混ぜたもの)など、様々な加工品が流通しています。 茎わかめ 和え物・サラダ: 塩抜き後、そのまま和え物やサラダに使います。コリコリとした食感が特徴です。 炒め物: 中華風の炒め物として調理されます。醤油やごま油で味付けすると美味しく仕上がります。 佃煮風: 醤油や砂糖で味付けした茎わかめの佃煮風は、ご飯のお供として人気があります。 おつまみ: コリコリとした独特の食感を活かして、お酒のおつまみとしても好まれます。市販の味付け茎わかめは、そのまま食べられる便利な商品として広く親しまれています。 出典 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版 筑波大学研究チーム(2020年)European Journal of Clinical Nutrition NPO法人フコイダン研究所研究発表(2004年) 北海道大学研究 大妻女子大学 青江誠一郎教授研究 わかさの秘密「ワカメ | 成分情報」 株式会社フレスタ「昆布、ワカメ、海苔……古来から日本人の健康を守ってきたソウルフード"海藻"のチカラ」(2022年1月6日) フコイダンラボ「【フコイダン】めかぶに含まれる成分とは?効能とヌメリの秘密について」(2024年6月17日)ポイントの内容を入力してください 是非、日々の食事にわかめをプラスして健康的な生活を過ごしましょう

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海苔の健康効果と栄養価について

海苔について 海苔の特徴 海苔は、紅藻類ウシケノリ科アマノリ属の海藻を原料とする、日本を代表する海産食品です。西暦701年の大宝律令にも記載があり、当時から貴重な食材として朝廷への税として納められていました。現在の板海苔の形は江戸時代に確立され、将軍・徳川家康の好物として品川を中心に養殖が始まり、「浅草海苔」として広まりました。 原料による種類 スサビノリ 現在最も一般的な養殖品種。厚みがあり、パリッとした食感と光沢が特徴。全国で養殖され、市場の大部分を占める アサクサノリ かつては東京湾で養殖されていた高級品種。現在は九州の有明海などで少量栽培。赤みを帯びた色で、炙ると鮮やかな緑色に変化 ウップルイノリ 岩場に自生する天然の「岩海苔」の代表的品種。島根県など日本海側で採取。繊維がしっかりしており、独特の風味 加工方法による種類 生海苔:収穫後、洗浄した生の状態。冬季限定。とろりとした食感で、酢の物や佃煮の原料 乾燥海苔(板海苔):生海苔を細かく裁断し、すだれ状に漉いて板状に乾燥させたもの。全型(約21cm×19cm)が基本 焼き海苔:乾燥海苔を焼き上げたもの。すぐに食べられ、現在の主流 味付け海苔:焼き海苔に醤油・砂糖などで味付けしたもの。関西で特に人気 バラ干し海苔:板状にせず、海苔本来の形で乾燥。細胞を傷つけず旨味を保つ もみ海苔:製造時に切り落とされる端の部分。細かくしたもので、トッピングに便利 青のり:別の海藻(緑藻類アオサ科)が原料。お好み焼きなどに使用 産地による特徴 有明海(九州):全国生産量の40%以上。河川水の流入で海水比重が低く、しっとり柔らかい食感 瀬戸内海:全国の約20%。有明産よりもしっかりした食感で、パリッとした心地よい歯ごたえ 東京湾(江戸前):海苔の歴史で最も古い産地。やや硬めの食感だが、海苔の香りが強く、寿司店やギフト用として人気 収穫時期と品質 海苔の収穫は11月初旬〜3月中旬。特に11月に収穫される「初摘み」「一番摘み」は、黒く艶があり、柔らかく香り高い最高品質。色素(葉緑素・カロテノイド・紅藻素・藍藻素)が豊富で、グルタミン酸やイノシン酸などの旨味成分も多い。 また、11月中旬の限定期間に採れる「青まぜ」は、スサビノリに青海苔が混じる希少品(全体の1%)で、青海苔の香りが豊かな個性的な味わい。 海苔の栄養成分 焼き海苔 100gあたりの栄養成分値 ✨ 海苔の特筆すべき栄養:・タンパク質含有量約40%:大豆よりも高く、必須アミノ酸をすべて含む良質なタンパク質・ビタミンB12が豊富:植物性食品では極めて稀。ヴィーガンの貴重なB12源・3種類の旨味成分:グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸を全て含む唯一の天然食品 補足情報:・海苔1枚(全型3g)あたりでは、ビタミンB12は1日推奨量の約70%、葉酸は約20%を摂取できます。・海苔のビタミンCは熱に強く、焼いても栄養素が壊れにくい特性があります。・1日2〜3枚が適量とされています。 海苔の健康効果 貧血予防・造血作用 海苔には造血に必要な栄養素が豊富に含まれています。ビタミンB12(1枚で1日推奨量の70%)、葉酸(1枚で1日推奨量の20%)、鉄分(5枚で牛レバー1切れ分)が貧血予防に効果的です。特にビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれないため、菜食主義者にとって貴重な栄養源となります。不足すると悪性貧血や神経障害、記憶障害、慢性疲労などのリスクがあります。 免疫力向上・感染症予防 ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB群、良質なタンパク質が免疫細胞の働きをサポートします。ビタミンAは粘膜や皮膚を整え、ビタミンCは白血球の働きを活性化。海苔のビタミンA含有量はほうれん草の約8倍で、1日2枚で子どもに必要なビタミンAを摂取できます。ビタミンCは焼き海苔3枚でみかん約1個分に相当し、熱に強い特性により調理しても栄養が保たれます。 腸内環境改善・便秘予防 海苔の約3分の1は食物繊維で、その量はほうれん草の約2倍。海苔の食物繊維は柔軟で胃壁や腸壁を傷つけず、腸内でのビタミン合成を助けます。さらに、海苔特有の水溶性食物繊維「ポルフィラン」が腸内の有害物質や有害金属の除去にも効果的。腸内環境を整え、便秘改善、血糖値上昇抑制、血中コレステロール低下に役立ちます。 生活習慣病予防 EPA(エイコサペンタエン酸)が悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させ、動脈硬化を予防。タウリンはコレステロール抑制、高血圧、脳血栓、心筋梗塞の予防に効果があるとされます。β-カロテンはがん予防に効果的と注目されています。カリウムが体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧予防やむくみ防止に貢献します。 美肌・アンチエイジング効果 ビタミンCはメラニン生成を抑えてシミを防ぎ、できたシミを薄くするダブルの美白効果があります。焼き海苔約1帖にはみかん1個の1.5倍のビタミンCが含まれます。ビタミンEの抗酸化作用で細胞の老化を防止。ポルフィランの保水力が肌の潤いを保ち、化粧品の保湿成分としても使用されています。 甲状腺機能・代謝維持 ヨウ素が甲状腺ホルモンの主原料となり、基礎代謝の維持や体の成長を促します。焼き海苔1枚(3g)で1日推奨量の約半分のヨウ素が摂取できます。ただし、過剰摂取は甲状腺機能障害のリスクがあるため注意が必要です。 減塩効果 海苔は日本の伝統的な3大旨味成分(グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸)をすべて含む唯一の天然食品です。このため、薄味の料理でも海苔を加えることで満足感が高まり、減塩に役立ちます。 海苔の使われ方 基本的な使い方 おにぎり:焼き海苔で巻く(関東)、味付け海苔(関西) 寿司:海苔巻き、軍艦巻、手巻き寿司 麺類のトッピング:ラーメン、うどん、そば、パスタ 磯辺餅:餅を焼いて海苔で巻き、醤油で 天ぷら:海苔だけ、または他の具材と ふりかけ:細かくしてごはんに 佃煮:生海苔を煮詰める 現代的なアレンジ サラダのトッピング:バラ干し海苔を振りかける パスタ:和風パスタに、もみ海苔をトッピング 卵かけごはん:焼き海苔やもみ海苔と一緒に おつまみ:味付け海苔をそのまま(塩味、梅味、わさび味など) 洋食との組み合わせ:バターやチーズに混ぜて風味付け 効果的な食べ方 食べる直前に炙る:磯の香りが立ち、風味が増す(乾燥海苔、焼き海苔ともに) ビタミンCやタンパク質と一緒に:鉄分の吸収が良くなる 油と一緒に:β-カロテンなど脂溶性ビタミンの吸収が向上 注意点・適量 1日の適量:2〜3枚(全型の焼き海苔) 海苔2〜3枚でビタミンB12や葉酸などの栄養素を十分に摂取できます。これ以上食べても問題ありませんが、ヨウ素の過剰摂取に注意が必要です。 ヨウ素の過剰摂取リスク 海苔に含まれるヨウ素は、摂りすぎると甲状腺機能障害(甲状腺機能低下症、甲状腺腫)を引き起こす可能性があります。ただし、海苔のヨウ素含有量(2,100μg/100g)は昆布(200,000μg/100g)に比べれば遥かに少ないため、常識的な量であれば問題ありません。甲状腺疾患をお持ちの方は、医師に相談の上で摂取してください。 味付け海苔・韓国海苔の注意点 味付け海苔や韓国海苔は、塩分・糖分・添加物が多く含まれています。何枚も食べすぎないよう注意し、できれば自然な磯の香りを楽しめる焼き海苔を選ぶことをおすすめします。 出典 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版

コラム

寒天の健康効果と栄養価について

寒天について 寒天の特徴 寒天は、テングサ(天草)やオゴノリなどの紅藻類の粘液質を固めた「ところてん」を凍結・乾燥させた食品です。約360年の歴史を持ち、江戸時代に京都伏見の旅館「美濃屋」の主人・美濃屋太郎左衛門が、余ったところてんを外に捨てたところ、冬の寒さで凍結・脱水して白い乾物になったことから偶然発見されたとされています。 原料による違い 寒天の原料には主に2種類の海藻が使用されます: テングサ(天草):マクサ、オバクサ、ヒラクサなどテングサ科海藻の総称。一年草で養殖不可。高品質で弾力性と保水性に優れるが高価。主に糸寒天や伝統的な角寒天の原料 オゴノリ:オゴノリやオオオゴノリなど。養殖可能で安定供給でき、工業生産に適する。アルカリ処理により凝固力を強化。主に粉寒天の原料 製造方法による種類 天然寒天(伝統製法) 角寒天(棒寒天):テングサとオゴノリのブレンドが多い。トコロテンを枠に流し込み、厳冬期(12月〜2月)に屋外で自然凍結・自然乾燥。2晩かけての凍結が最上。棒状で使用前に水で戻す必要あり 糸寒天(細寒天):テングサを主原料。自然凍結・自然乾燥で作られた糸状の寒天。滑らかな口当たりで透明度が高く、主に和菓子用。使用前に水で戻す必要あり 工業寒天(近代製法) 粉寒天:オゴノリを主原料。アルカリ処理(水酸化ナトリウム)後、漂白して煮沸抽出。工場内で圧搾脱水・熱風乾燥し粉末化。使用が簡単で凝固力が強い。現在市場の約90%を占める フレーク寒天:粉寒天の粒度を調整したもの。水洗いや裏ごし不要 産地 国産:かつては長野県(伊那地方)、岐阜県が主産地 輸入:チリ、インドネシア、韓国、モロッコ、スペイン、ブラジルなど世界各地から。2000年以降、輸入品が国産品を上回る ゼラチンやアガーとの違い 寒天 植物性(海藻由来)。凝固力が最も強く、少量でしっかり固まる。融点約90℃、凝固点約40℃。常温で固まり、口の中で溶けない。歯切れの良いほろっとした食感 ゼラチン 動物性(牛・豚由来のコラーゲン)。融点25〜30℃で口の中で溶ける。弾力のあるプルプル食感 アガー スギノリやツノマタなどの海藻由来カラギーナンが原料。透明度が最も高く、寒天とゼラチンの中間の柔らかさ 寒天の栄養成分 粉寒天 100gあたりの栄養成分値 ✨ 寒天の特筆すべき特徴:・食物繊維含有量 約80%:全食品中トップクラス(100g中79.0g)・ほぼノンカロリー:ゼリー状態で3kcal/100gと極めて低カロリー・100倍以上の保水力:胃の中で膨張し、満腹感を得やすい・「第6の栄養素」:食物繊維の重要な生理機能が認められている 補足情報:・寒天の約80%が食物繊維で、残りは水分と微量のミネラルです。・人の消化酵素では分解されず、ほとんどがそのまま大腸に到達します。・水溶性と不溶性の両方の食物繊維の特徴を併せ持ちます。・1日の推奨摂取量は約6g(粉寒天の場合)です。・特定保健用食品(トクホ)の関与成分として認められています。 寒天の健康効果 便秘解消・腸内環境改善 寒天に含まれる食物繊維は、水溶性と不溶性の両方の働きをします。 水溶性食物繊維:腸内で水分を吸収してゲル化し、便を柔らかくして排便をスムーズに 不溶性食物繊維:大腸で水分を吸収して膨張し、便のかさを増やして腸壁を刺激。腸の蠕動運動を活発化 研究データ:高齢者80名に寒天とオリゴ糖を3ヶ月間摂取させた研究で、排便回数の増加、下剤服用回数の減少、腸内細菌叢の改善が確認された。ビフィズス菌などの善玉菌が増加し、腸内環境が改善(日本栄養・食糧学会誌)。 腸内環境の改善は、大腸がんの予防、美肌効果(便秘が原因のニキビ・肌荒れ対策)にもつながります。 ダイエット・肥満予防効果 ほぼノンカロリー:ゼリー状態で3kcal/100gと極めて低カロリー 満腹感の持続:胃の中で水分を吸収して膨張(100倍以上)し、少量でも満腹感が得られる。糖質の吸収に時間がかかるため、満腹感が長持ち 食べ過ぎ防止:食事の30分前に摂取すると、食事量を自然に減らせる 脂肪蓄積の抑制:糖の吸収を遅らせることで血糖値の急上昇を防ぎ、脂肪が付きにくい 研究データ:寒天を2.5%添加して炊いたご飯は、寒天なしのご飯と比べて食後血糖値の上昇が緩やかになることが確認された(日本調理科学会誌 2012)。 糖尿病予防・血糖値コントロール 食物繊維は腸壁からの糖の吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を抑制します。これにより、インスリンの過剰分泌を防ぎ、糖尿病の予防に効果的です。 食前または食事と同時に摂取することで、血糖値上昇抑制効果が最大化 糖質を包み込んで吸収を遅延させる水溶性食物繊維の働き 動脈硬化・高血圧予防 食物繊維がコレステロールの吸収を防ぎ、体外への排出を促進: 悪玉(LDL)コレステロールの低減 血中脂質の改善 肥満改善による血圧低下 特定保健用食品(トクホ)としての認定 寒天由来の食物繊維は、「お腹の調子を整える」と表示されている特定保健用食品(トクホ)の関与成分として認められています。 寒天の使われ方 寒天は和菓子の定番材料ですが、料理からデザート、ダイエット食品まで幅広く活用できる万能食材です。 伝統的な和菓子 水羊羹:夏の定番。寒天で固めたあんこの和菓子 錦玉羹(きんぎょくかん):透明感のある上生菓子 みつ豆・あんみつ:角切り寒天に果物やあんこ、白玉、黒蜜をトッピング 琥珀糖:宝石のような見た目の和菓子 デザート 寒天ゼリー:フルーツジュース、牛乳、コーヒーなどで。ゼラチンより硬めでプルプリとした食感 杏仁豆腐:中華デザートも寒天で作れる フルーツ寒天:キウイ、オレンジ、パイナップルなど。パイナップルやキウイはゼラチンでは固まらないが、寒天なら可能 牛乳寒天:ミルクプリンのような味わい コーヒーゼリー:カフェ風デザート 料理への応用 ところてん:寒天を型に流して固め、心太突きで細く突き出す。酢醤油(関東)、黒蜜(関西)、ポン酢など。夏の清涼食品として人気 寒天サラダ:角切りまたは糸寒天を水で戻してサラダに加える。食感のアクセントに 味噌汁・スープのトッピング:糸寒天を直接入れて食物繊維を手軽に摂取 寒天入りご飯:米1合あたり粉寒天1gを加えて炊くと、ツヤが出てもっちり。冷めても美味しく、食物繊維も摂取可能 あんかけ料理:寒天でとろみをつける 効果的な使い方のコツ しっかり煮溶かす:粉寒天の場合でも、沸騰させて1〜2分煮る。完全に溶かさないと舌触りが悪く、凝固力も弱まる 砂糖は寒天が溶けてから:寒天が溶ける前に砂糖を加えると溶けにくくなる 酸性の果汁は火を止めてから:レモン、オレンジなど酸味の強い果汁を一緒に煮ると固まりにくい 後から加える液体は常温〜人肌に:冷たい液体を加えると温度差で固まりにムラができる パイナップル・キウイも使える:これらの果物に含まれるプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)は、ゼラチンの凝固を阻害するが、寒天には影響しない 注意点・適量 1日の推奨摂取量:約6g(粉寒天の場合)日本人の食物繊維摂取目標量は、18〜64歳で男性21g以上、女性18g以上です。しかし実際には全年代で不足しており、特に20〜40代で顕著です。理想の摂取量(米国・カナダ基準):24g/日 現状の平均摂取量(日本人女性20歳以上):18.0g/日不足分を寒天で補う場合、粉寒天で7.6g以上が目安ですが、通常は1日6g程度が適量とされています。 出典 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版 日本調理科学会誌 2012 寒天2.5%添加ご飯の血糖値研究 日本栄養・食糧学会誌 高齢者80名の研究